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相続に関する最高裁判例(25年9月4日)

判決の日からはかなり時間がたってしまっていますが、相続において非常に重要な判例がでていますので、今回のブログでは最高裁平成25年9月4日の判例について書きたいと思います。

新聞等でも報道されていたので、多くの方はご存じだと思いますが、最高裁は、平成13年7月に相続が開始した(被相続人が亡くなった)事案について、非嫡出子(婚姻関係にない子)の相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号ただし書の規定を適用するのは憲法違反(平等原則違反)であると判断したものです。時代が変化していること、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されないという理由から、遅くとも平成13年7月の時点では非嫡出子の相続分を2分の1とすることの合意的根拠は失われていたとしています。

ただ、最高裁が違憲判断によっても、今後まだ問題が発生する余地はあります。具体的には、実務上、この判例が適用される範囲がどこまでなのかという点についてです。
まず、一つ明らかな点はあります。最高裁も判決中で、今回の相続の開始時(平成13年7月)から本決定までの間に開始された他の相続につき,本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当であると述べているように、既に遺産分割が終了している件については、今回の判決によって、遺産分割がやり直しになることはないということです。

次に、現段階では遺産分割が終了していない件です。
まず、現在のところ伝え聞く民法改正では、平成25年9月4日最高裁判決の後に相続が開始された事案について、民法900条4号ただし書きを適用しないという法律となるようです。
そうはいっても、今回の判決がでた以上、最高裁判決より前に相続が開始された事案であるからと行って、民法900条4号ただし書がすんなりと適用されることはないでしょう。その一方、今回の最高裁判決も時代の変化を判決にあげ、遅くとも平成13年7月以降は合理的根拠を失っていたとしている以上、大昔の事案(であり遺産分割未了のもの)にまで影響を及ぼすとも思えません。
そうなると一つのメルクマールは今回の最高裁判決の事案(被相続人が平成13年7月に死亡)以降に相続が開始した事案については、恐らく民法900条4号ただし書は適用しないという扱いになると思われます。それ以前の事案ついては、今後の事案の集積を待つということになると思います(もっとも、既に10年以上経過しているので、数としてはそう多くないのと思いますが・・・)。

弁護士 黒木 勉


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